雇用形態の多様化が職場の労務管理にもたらす問題点について ―その1―

 2008年9月、米国の名門投資銀行であるリーマン・ブラザーズが破綻し、
世界的な金融危機の引き金となった。

これにより日本経済の外需による景気は崩れ去り、
2010年に入ってやや持ち直したものの、
中小・零細企業はいまだ立ち直れずにいる。
今こそ「ヒト」の専門家たるわたしたち社会保険労務士が、
中小・零細企業の労使の方々のお役に立つ時代なのではないか。


95年に日本経営者団体連盟が、「新時代の日本的経営」を発表し、
アトキンソン(J.英)が提唱した「柔軟な企業モデル」を取入れ、
各企業が人材管理の柔軟性を確保する経営戦略(雇用ポートフォリオ論)を
導入する事を提案して以来、非正規雇用は増加の一途を辿る。


バブル以前は正規雇用9に対し1であった非正規雇用が、
2007年の調査では37.8%となり、今や全体の3割超が非正規雇用である。

雇用の多様化とはいいながら、
非正規雇用は正規雇用に比べ雇い止めが容易であり、
身分が不安定で、生涯所得格差は実に約2.5倍といわれている。

非正規雇用労働者の生活満足度は低く、
貧困リスクは高く、
年金額も低く、
様々な問題を抱えて人生を送ることになる。


太郎丸博(2009)は、非正規雇用労働者について、その著書のなかで、


「正規雇用と非正規雇用の間に収入や権力の格差があったとしても、
仮に正規雇用と非正規雇用の間を自由に移動できるならば、
そのような格差は実質的にはたいした問題ではない。

しかし、いったん非正規雇用や無職になると、
二度と正規雇用に戻ることができないならば、
正規雇用と非正規雇用の間の格差は許容しがたい大きな社会問題となる。」

と、語るが、正規雇用と非正規雇用は今や異なる社会階層となり、
人々の間に移動障壁(社会移動の「難しさ」をいう。)となってそびえている感がある。


参考文献:
平成21年厚生労働白書
平成21年版労働の分析
太郎丸博(2009)若年非正規雇用の社会学 

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